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不思議の
国の
ア…

G/9-Project演劇公演2025【秋】


不思議の国のア…
G/9-Project演劇公演2025【秋】
作・演出 仲尾玲二

主人公は有住万里子、73歳。かつて教師として多くの子どもたちを導いてきたが、今はアルツハイマー型認知症と共に暮らす日々。有住の目に映るこの世界は、すでに「かつての現実」ではない。台所に立つ娘は巨大な桃ウサギになっている。「時間よ、時間よ!」と忙しく動き回り、孫はなぜかニヤニヤ笑ってる猫になって洗濯をしている。特養の園長はハートの女王に、介護スタッフはドードー鳥のに見える。有住の脳内に広がる「不思議の国」は混乱とユーモアに満ちていて、彼女は戸惑いながらも、そこに棲む“彼ら”との交流を通じて、かつての自分や忘れかけていた大切な記憶を断片的に取り戻していく。やがて、「不思議の国」の中で有住は一つの冒険に挑むことになる。それはハートの女王から出された謎を解く旅。不確かで曖昧な記憶の中でも、確かに生きている“今”を、家族は支え続ける。そして観客にはこう問いかけるように、幕が閉じる。――「私たちの世界も、誰かの不思議の国かもしれない」




